『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』―記憶の海の底に―

『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』(Kubo and the Two Strings)は、映画を観るということの原点を思い出させてくれるような作品だった。 初めて観た映画は何だったか、それすら定かではないほど幼い頃から、私は親に連れられて劇場を訪れ、暗闇の中に映し出され…

だららん感想文 『シン・ゴジラ』の巻

映画『シン・ゴジラ』を観たので感想文を書きました。 喫茶店で珈琲を飲みながらだらだら話すのを聞くような感じでお読みください。 1回観た印象だけで、それも観ている最中は頭の中がぐるぐるしていましたから、見逃しや勘違いもあるかと思いますが、そう…

GODZILLA の綴りを考えたのは誰か ―竹内博さんが残したもの―

1954年に本多猪四郎監督の『ゴジラ』が公開されてから60年。 今年は節目の年ということで、イベントや出版が目白押しの盛況を呈している。 洋泉社の「別冊映画秘宝 初代ゴジラ研究読本」(2014年8月24日発行)も、そうした中で出てきた読み応えのある一冊だ…

『パシフィック・リム』に犬が出てくるのはなぜか  ―記憶の森を旅する映画―

ジェイムズ・ヒルトンの『心の旅路』という小説をずいぶん昔に読んだ。同題の有名な映画の原作だ。私の子供の頃の新聞や雑誌では、「記憶喪失」の話題にからめて「心の旅路」という言葉が代名詞のように使われていたほどだ。映画自体は見たことがなく、予備…

平山亨さんのこと

平山亨さんに初めてお会いしたのは、私がまだ中学生だった昭和53年でした。とある縁があって同じ年頃の友人たちと一緒にお目にかかる機会があり、東映本社の喫茶室で色々なお話を聞かせていただいて、そのお人柄に魅了されてしまいました。子供の頃から夢中…